今週は学会ウイーク。
今日まで熊本で、日本草地学会に参加していました。
熊本は、桜が満開です。
今は、東京に向けて移動中です。
(羽田でアクシデント。滑走路に穴?!なまら遅れました。。。)
さて、草地学会で、ひとつおもしろい発表がありました。
牧草というのは、伸びたら収穫すれば良いというものではありません。
年に2回刈り取りだと悪影響はないのですが、3回刈り取りすると、弱ってしまい、徐々に消えていってしまう牧草品種があります。
草っていうのもデリケートですよね。
一方で、何度刈っても元気を失わない品種もあります。
刈り取り回数を増やすと、単純に収穫量が多くなるだけではなく、収穫した牧草の栄養価も増します。栄養価アップは、草が若いうちに刈り取りすることと関係しています。
このように、年2回ではなく、3回刈りできると、収量と栄養価がダブルで向上するということになります。
これは魅力的ではないですか?という発表でした。
まさにその通りです。
私のような、飼料設計をする栄養屋は、少しでも栄養価の高いエサを牛に与えたいという、習性を持っています。
そういった意味で、この発表には、共感を得ました。
栄養価の高いエサを毎日牛に与えることができる、と考えただけで、にやにやしてしまいます。
一方で、日々、現場で収穫作業に従事する職員さんの姿を見ているので、そう簡単な問題ではないということも知っています。
牧草の収穫は、農場にとって、多くの人手を必要とする、一大イベントです。
それを年に2回やり、その合間に、肥料や糞尿散布をし、麦桿(麦わら)を収穫し、秋にはトウモロコシを収穫する。
その隙間に、トウモロコシや牧草の種まき、機械整備や、たまった作業をこなします。
この中で、牧草収穫作業をさらに1回増やすことは、相当な労働強化になります。
酪農家も事情は同じです。
牧草の3回刈りを勧めるということは、1年間息つく暇もなく働きなさい、というようなものです。
発表した研究チームもその辺は認識していたようです。
3回刈りによって栄養価が上がるのは確実なので、ケースバイケースでオプションのひとつとして、考えてみてはどうですか?というスタンスでした。
研究で得られた、一見理想的なデータ、しかし、それは一面からの結果かもしれません。
角度を変えて、その結果を眺めてみて、最終的に生産者に使ってもらえない技術であれば、絵に描いた餅に過ぎないことになります。
現場で使ってもらいたい技術を研究をすることの、何が大切かということを、今日は再認識しました。