乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

氷の大地、牛はよちよち歩きです

いよいよ入試シーズンが始まりました。
今週末、まずは推薦入試が行われます。
我々教員も、入試関係の業務が割り当てられます。
とても重要な業務なので緊張しますが、来年の春に会えるかもしれない未来の学生たちとの最初の出会いの場でもあります。

 

さて、今日から、大阪出張です。

厳寒の北海道から、生暖かい大阪の街、日本は広い。

 

今朝は大雪でした!
札幌も積もりましたが、大学のある江別はかなりの積雪でした。

 

毎年冬になると感じるのですが、牛は冬道を歩くのがへたくそです。

今朝は、雪が積もったので、気になって朝搾乳の現場に立ち会いました。

案の定、ミルキングパーラーに向かう牛たちがツルツルと滑っているではありませんか。

 

牛は偶蹄類といって、蹄が二つある、4本足の動物です。

牛は家畜化される前は野生動物でした。
ヨーロッパのどちらかといえば北部が原産の乳牛。


大昔、家畜化される以前の牛たちは、厳寒期、ツルツル滑らずに、歩いたり駆けたりしていたのでしょうか。

本学は、野生のエゾシカの食害に悩ませています。
エゾシカたちは、ウシと同じ偶蹄類ですが、彼らは身軽なので、氷の地面を滑らずに駆け回ることができていることでしょう。

 

と、そんなことを疑問に想いながら、滑る牛たちをミルキングパーラーの行き帰りに慎重に誘導しました。

 

氷の地面を歩かせるときは、砂を撒く、ジュータンを敷く、などの対策が考えられます。
牛は滑ると、後肢が股裂けになって、重大な事故に繋がりかねません。

道東出身の学生F君によると、実家ではスリップして後肢が股裂けにならないように、後ろ足がある一定以上開かないようなバンドで止めているそうです(見たことない人はイメージわかないかもしれませんね)。

 

これからの季節、それらの対策をとって、安全に実験を遂行させようと思いました。

 

それにしても、あんなに滑っていたら、牛は肉食動物にあっさりと捕まってしまっていたと想像されます。北国育ちの乳牛、しばれる大地に足を取られないように、今よりは俊敏に歩いていたのでしょうか。

そんな牛の歴史を考えていると、あっという間に作業が終わりました。