乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

生産者、消費者、それぞれの立場からみた乳価

乳価の上昇が止まりません。

 

我が家では、小柄なムスコのために、妻がカルシウム強化の宅配牛乳をとっています。

 

先日、宅配牛乳の牛乳と一緒に値上げの案内が同封されていました。

 

案内文によると、1本当たり4円の値上げということです。
1本180mlで、4円の値上げということは、1リットルパックだと20円以上の値上げということになります。

 

出費が増えることへの妻のボヤキが、私の耳を直撃します。

今のところ、宅配牛乳は週3本のペースで届けてもらっています。

ですが、これ以上の値上げが続くと、週2本に減らすか、注文自体をやめざるを得なくなるかもしれません。

 

かたや、酪農業界は、空前の好景気に沸いています。
酪農家の収入源といえば、牛乳と、オス子牛や子をはらんだ若メス牛の個体販売があります。

 

酪農家戸数の減少や異常気象が原因となって、生乳の供給がタイトになっています。

先日、ホクレンが行った乳製品向けの生乳の乳業メーカーによる入札では、1kgあたり乳価が、3年前にほぼ90円だったものが、今年は120円に迫る勢いに暴騰したそうです(酪農スピードニュースより)。

 

こういった、これまでにない乳価の上昇が、酪農家の所得を押し上げています。

 

研究や教育を通して、酪農家や酪農業界に貢献したいというのが、私の哲学です。

その点では、酪農家の経営がうまく行き、関連産業の景気が良くなることは、喜ばしいことです。

 

こういった流れを受けて、国内乳生産は上向き、牛乳生産は増産基調になってきました。

 

農産物需給の常で、豊作になり流通量が増えると、価格は下がります。逆に不作になりすぎて価格が暴騰しても、売上は鈍化してしまうでしょう。

 

一時、水よりも安いと言われた牛乳ですが、この先、高級嗜好品となって消費者の手が届かない高嶺の花になってしまわないか、少し心配です。

春から小学校にあがる次男。

給食費を値上げしないと、牛乳を出せなくなる、なんてことにならなければ良いのですが。。。

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