NHKでは定期的に人体の仕組みについての特番が放映されます。
商売柄、楽しみにしていますが、最近のシリーズは食の起源について、TOKIOのメンバーが進行しています。
先日の最新版は「脂肪」でした。
番組では体に良い脂肪ということで、オメガ3脂肪酸が紹介されました。
オメガ3脂肪酸は、海の中に漂う緑の藻に多く含まれています。それを食べた海中のプランクトン、さらにそれを食べた魚に蓄積されていくという、食物連鎖が、わかりやすいアニメーションで紹介されていました。
オメガ3脂肪酸は、亜麻仁油やサバなどの青魚に豊富に含まれています。
代表格は、αリノレン酸やDHA、EPAといった脂肪酸です。
脂肪酸と脂肪の違いが、わかりにくいかもしれません。
脂肪には3つの脂肪酸が含まれていると覚えましょう。
逆にみると、脂肪酸が3つくっついて、脂肪が一つできると覚えても良いでしょう。
この脂肪酸は、摂りすぎると体に悪いといわれることの多い脂肪酸の中では、珍しく健康に良い物質です。不足しがちなので、積極的に毎日摂りましょうといわれるほど優良なアブラです。
オメガ3脂肪酸は、血液をサラサラにし、アレルギーなどの炎症を抑えることがわかっています。
逆に、いわゆる取り過ぎに注意しましょうという脂肪酸の代表格は、リノール酸などのオメガ6脂肪酸と、動物性脂肪に多く含まれている飽和脂肪酸です。番組では、特にオメガ6脂肪酸が強調されていました。
オメガ6脂肪酸は、一般的な植物油(サラダ油)に豊富に含まれています。
こちらの脂肪酸は、取り過ぎると炎症を誘発するので、アレルギーの発症要因とも考えられます。(ただし、少なすぎると免疫反応が不活発になるという報告もあります)
健康に良いオメガ3脂肪酸ですが、一つだけ弱点があります。
それは、液体の油で摂取しようとすると、価格が高いということです。
オメガ3脂肪酸、スーパーの油売り場に行くと、亜麻仁油などとして、100gの小瓶で売られています。
これが、モノにもよりますが、500円以上から、1000円近くします(番組の後、スーパーに行って価格をチェックし、驚きました)。
一方、通常のサラダ油は、1リットルで数百円。100グラム換算では、わずか数十円です。
いくら健康に良いといわれても、これだけ高価な油を日常的に摂るのは、多くの消費者にとって現実的ではないでしょう。
さらに、植物性の油脂には、どれだけオメガ3脂肪酸の含有量が高いものでも、オメガ6脂肪酸もある程度は含まれています。取り過ぎは、いずれにせよ注意が必要です。
そこで、話題のサバ缶を調べてみました。
文科省が運営している食品成分データベースというホームページが、食品の栄養素を調べるには最適です。
そのHPで、サバ缶の水煮を調べたところ、オメガ3脂肪酸であるイコサペンタエン酸(0.9g)、ドコサヘキサエン酸(1.3g)が大量に含まれていました。厚労省が推奨するこれら脂肪酸の推奨摂取量は1日1gですが、ほぼ1缶で達成可能でした。
一方で、同じくオメガ3脂肪酸の仲間であるαリノレン酸は、サバ缶にはほとんど含まれていませんでした(0.07g)。
もう一点興味深かったのが、サバ缶には、取り過ぎ注意とされるリノール酸などのオメガ6脂肪酸はほとんど含まれていませんでした(0.3g)。魚のアブラっておもしろいと思いました。
もう一つ、取り過ぎ注意とされる飽和脂肪酸ですが、サバ缶には、その代表格であるパルミチン酸を筆頭にトータルで2.4gと若干含まれていました。この量は、それほど多くはありませんが、やはり取りすぎは注意が必要でしょう。
サバ缶には良質なオメガ3脂肪酸が含まれていることがわかりました。
ですが、おそらく、オメガ3脂肪酸は水煮の溶液にも溶け出していると推測されます。
缶詰の溶液も上手に使った方がしっかり回収できるでしょう。料理の際に一工夫することで、より効果が上がるでしょう。
油は、我々の畜産分野でも、ホットな分野です。
日々、新しい技術が開発されています。
目の離せない分野と言えます。
↓オカンメシでもサバ缶は頻繁に登場します