みなさん、おばんでした。
昨日、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が健康やアレルギーに効くという話をしました。
私は今、この春帰国したミャンマー人留学生Mさんから送られてきた論文の原稿を読み込むために、免疫システムの勉強をしています。
彼の研究テーマは、酵母細胞壁がウシの免疫を改善するのか?というものです。
酵母細胞壁には免疫を改善すると考えられている物質が含まれているので、それをウシのエサに混ぜて与えるという実験です。
今日は、免疫について勉強したことを自分の記憶の整理も兼ねて少し紹介します。
↓パンは酵母を使って発酵させます。発酵によってぷくぷく膨らむパン生地、メンコイですよね~♪
ストレスと免疫
ストレスにかかると免疫力が低下するのはなぜか?
自律神経というのはご存知でしょうか。自律神経には2通りあります。
仕事や緊張モードでは交感神経が優位に働き、リラックスモードでは副交感神経が働きます。
スポーツの試合でバリバリの戦闘モードの時は交感神経全開です。
試合中にケガをしてもそのまま続行して、試合終了後に痛みが増して、ひどいケガをしていたことに気付いた、みたいな話しはよく耳にする話しです。
これには、交感神経優位下では、アドレナリンやステロイドホルモンが放出されて、免疫系を抑制することが関係しています。
気合いバリバリの時に痛みを感じないのは、ステロイドホルモンが炎症を強力に抑制するからです。炎症が抑えられるので、痛みも感じにくいのです。
ステロイド薬が痒みなどの炎症抑制に効果があるのは、暴走している免疫系を抑える役割があるということです。
ストレスが続き緊張状態が持続していると、以下のメカニズムによって、病気にかかりやすくなってしまいます。
交感神経優位→ステロイドホルモンが常に放出される→免疫が抑制される→病原体が体内に侵入しやすくなる or 体内に侵入した病原体が除去されない→病気にかかりやすくなる
健康を維持するためには、ストレスをためずリラックスした生活が大事なんですね。
腸管免疫と善玉菌
腸管内には口を経由して絶えず異物が流れ込みます。もっぱらは食品ですが、手洗いをしていないと病原体も流れてきます。そもそも腸内には常在菌が存在し、腸内粘膜は常に細菌にさらされています。
このため腸粘膜組織は強力な免疫バリア機能を有しています。
腸粘膜にはパイエル板という器官があります。そこでは積極的に病原体を取り込み、抗体を生成する仕組みがあります。IgAという抗体が生成され、腸管内に放出されると病原体とIgAが結合し粘膜内への病原体侵入を防ぎます。
また、乳酸菌などの善玉菌は悪玉菌増殖を抑制したり、免疫細胞に刺激を与え、免疫活性を高める働きを有しています。
このように、2重、3重の防御システムで、私たちの腸は病原体の侵入から守られているのです。
理想的な腸内環境を維持するためには、発酵乳製品から善玉菌を継続的に摂取すると同時に、繊維質を好んで食べることが大切です。
何度か触れましたが、興味深いことにウシのルーメンもヒトの腸も同じで、善玉菌はなぜか繊維質を栄養源にしているものが多いからです。
ウシもヒトも同じ性質の微生物によって守られている、なんとも地球の歴史を思わせる壮大なロマンを感じますね~
今回参考にした文献はこちらです。