農場HACCPという、認証制度があります。
私は、昨年、その審査員の資格を取りました。
その初めての農場審査が、迫ってきました。
今回は、養豚場についての審査です。
農場HACCPというのは、安全な畜産物を生産し、消費者に届けることを目的としています。
農場HACCPの認証を取得するためには、畜産物を生産する、農場内の工程で、禁止薬品や異物などの危害が混入しないように、管理体制のシステムを構築することになります。
農場HACCPの認証基準に関する文書には、その農場の、作業マニュアルやチェックシート、報告・連絡・相談のいわゆるホウレンソウを確実にするための計画、作業に従事するスタッフ全員のスキルアップの取り組みなど、安全・安心をより高いレベルで実現するための、多数の項目が網羅されています。
認証基準を満たすように、農場内のルールを決めるためには、分厚い書類集を整えなくてはいけません。
この文書を見ながら、実際に農場に足を運んで、3人の審査員がチームを組んで、認証基準が適切に遵守されているかどうかを審査することになります。
この審査が通ると、晴れて農場HACCP認証を取得できます。
私は、今回の審査が初めてなので、ベテランの先生と一緒に参加します。
酪農については、一通りの知識と経験を持っていますが、豚については初めてなので、一から勉強です。
一方で、農場の労務的な運営や、会議の進め方、アクシデント時の緊急対応などは、私も農場教員が長かったので、動物種は異なっても、この辺の流れについてはイメージができます。
文書を読み込んだところ、農場運営に関しては、酪農場と比べて、養豚場の方が、シビアで、シスマチックだとういうことがわかりました。
万頭単位のブタを飼育する、巨大農場を運営するためには、そこのところをきっちりと取り組む必要があるのですね。
養豚業界の、低コストでありながら、安心・安全な豚肉を、消費者に届けるための、猛烈な努力を目の当たりにしました。
日頃、私たち消費者は、養豚場を訪問することはありません。
ですが、日本の養豚場は、極めて高いレベルで衛生管理をしていて、豚を健康に育てていることが、垣間見えました。
豚を健康に飼うことは、消費者のためでもあり、経営にとっても重要なポイントになります。
さらに、農場HACCPのシステムでは、従業員の頑張りについても、客観的に評価することが求められるので、働くモチベーションがアップします。
もし、スーパーで農場HACCP認証取得をした農場で生産された豚肉をみたら、その豚は極めて安全で、意識と技術の高いスタッフが運営している農場で生産されたと、考えて間違いないでしょう。
もちろん、お肉になったブタも快適な環境で飼われていたことが保証されます。
農場HACCP認証を得るためには、コストの面でも、その準備や運営にかける労力面でも、並大抵ではありません。
意識の高い農場の畜産物を食べて、ハッピーになりましょう。