乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

乳牛を使った研究

おばんです。

 

今日はミャンマー人のMさんの研究結果の解析に手間取り、クタクタになりました。

乳牛を使った研究、特に飼養試験といって飼料やサプリメントの評価試験はきれいな成果の出にくい分野になります。

 

統計処理

あるエサを食べさせたウシと、食べさせなかったウシで乳量を比較して、食べさせた方が乳がたくさん出るという結果が出ると、そのエサの効果があったということになります。

私の研究室では、基本的には、こういった試験に取り組むことが多いです。(この分野では、実験のことを「試験」といいます。テストのことではありません)

 

今日は、Mさんの統計処理をやりましたが、これがまた複雑な上に、思ったようなきれいな結果(判定)がでませんでした。統計手法に誤りがあったかもしれないので、再検討が必要ですが、そもそも今回用いたサプリメントの効果がなかった可能性が濃厚になってきました。

 

ものすごい労力をかけて、サンプリングと分析に研究費をつぎ込んだ結果が「用いたサプリメントの効果はありませんでした」では本当にがっかりしてしまいます。。。

Mさんにも、日本での研究の成果を持ち帰ってもらいたいですし。

 

しかし、研究者は結果に忠実でなくては絶対にいけません。

数年前に、ねつ造でやり玉に挙がった女性研究者がいましたよね。あのことが世間の憶測通りだったならば、研究者として悪魔のささやきに負けてしまった彼女の心理状態はとてもよく理解できます。

 

ですが、ダメなものはダメなのです。

私も結果が出ない研究をこれまで嫌というほど繰り返してきました。今回もその可能性が高まってきたということです。

 

これが乳牛です

ですが、これが乳牛なのです。乳牛はルーメンがあって、ルーメンの中には微生物がたくさんいて、そのシステムのおかげでヒトの思い通りの反応をしてくれないのです。だからこそ、未だに未解明のことが多く、研究もやり尽くされていないので、研究者としてはやりがいあるといえます。思った通りに行くことばかりだと面白みがないですよね。

 

・・・と強がってはみても、やっぱり結果がゼロだとがっかりなんです(T_T)