乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

豚肉の賞味期間に変化

豚肉には、消費期限があります。
これは通常3日程度で、特殊な衛生技術を用いる場合で、6日程度となります。

日本農業新聞 - ロングライフ化進む 精肉販売 付加価値販売で消費増へ 産地・スーパー 制菌作用高めて鮮度維持

 

ちなみに、ウィキペディアによると、足の速い生鮮食料品の場合、消費期限という期間が設定されています。一方、流通期間の長い、加工品などは、賞味期限(期間)が設定されます。

 

生(冷蔵)の豚肉には、スーパーの店頭などでパック詰めされて、陳列されているものの他に、別の流通経路があります。

それは、真空パック詰めで、0℃付近で流通するものです。


こちらは、日本では、20日の賞味期間が設定されています(日本農業新聞7/30付)。

日本農業新聞 - 豚肉 賞味期間延長へ 冷蔵で輸出拡大 政府が検討開始

(この記事を見て、妻とも話をしましたが、生肉なのに、けっこう傷まないものなんですね)

 

ただし、20日間でも船便での輸出を考えると、期間が短いので、冷凍品で輸出するしかありません。

 

一方、アメリカやカナダ産の豚肉は、同条件で50日間もの賞味期間を設定しているそうです。これだと、冷凍しなくても、輸出が可能で、輸入国の消費者も鮮度の高い生の肉を購入することができます。

 

保存方法は同じなのに、国の制度が異なるだけで、かたや生肉、かたや冷凍肉になってしまうのです。

 

日本からの豚肉輸出量は、香港、シンガポール、中東などの富裕層を中心に、右肩上がりで伸びているそうです(同新聞)。

 

政府と豚肉業界は、輸出量を増やし、豚肉の生産・販路拡大を目指す狙いから、海外と同程度の賞味期間を延ばす検討に入ったそうです。

 

これ自体は、業界の活性化になるわけですし、悪いことではありません。

 

ただ、ひっかかるのは、賞味期間が、政治的な思惑で左右されることです。

制度が切り替わる前日までは21日目の豚肉は廃棄しなくてはなりません。一方で、新制度に移行した、その日からは、21日どころか、さらに数十日も食べる(売る)ことができることになります。

 

それまで捨てていた豚肉は何だったのでしょうか。。。

もったいない話です。

 

賞味期限が切れるとすぐに捨ててしまうヒトも少なくないと思います。ですが、今回の事例のように、業界や国の思惑で政治的に決められているものも少なくないでしょう。

賞味期限の翌日には、その食品が腐ってしまうということではなさそうですね。

↓豚肉たっぷりのある日の愛妻弁当(^^)