乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

ルーメン

暑熱とルーメン微生物の流出速度の関係?

獣医師の知人のお一人から、興味深い質問が届きました。 質問をくれたN獣医師曰く、「実は、暑熱期にはルーメンアシドーシスにならない」という、興味深い解説が、家畜改良事業団が実施している、牛群検定のコメント欄に掲載されていたそうです。 「暑熱期は…

酢酸は乳脂肪を作り、エネルギーとなる

近々、僕が講演をする講習のテーマが「ルーメン(第一胃)と乳成分」の関係についてです。 ウシが乳房で乳成分、特に乳脂肪を作る上で、酢酸という有機酸が重要なカギとなります。 そんなわけで、調べ事をしていて、興味深い論文に出会いました。 酢酸を泌乳…

酢酸は乳脂肪を作り、エネルギーとなる

近々、僕が講演をする講習のテーマが「ルーメン(第一胃)と乳成分」の関係についてです。 ウシが乳房で乳成分、特に乳脂肪を作る上で、酢酸という有機酸が重要なカギとなります。 そんなわけで、調べ事をしていて、興味深い論文に出会いました。 酢酸を泌乳…

厚切りステーキ肉と飽和脂肪酸

最近の僕の流行に、厚切りステーキを焼いて食うというのがあります。 カミサンは牛肉が苦手なので、ステーキを焼くときは僕とムスコでいただきます。 買ってくるステーキ肉は、定番の西友のアンガスビーフ。100gで200円を切るお得なお値段の、真っ赤なUSビー…

peNDFとルーメンマットの関係

乳牛栄養学の大先輩と専門的なディスカッションをする機会がありました。 それは、物理的有効繊維(peNDF)についてです。 「ウシは、反芻をすることで、唾液をルーメン(第一胃)に送り込み腹の調子を整えています。 唾液はアルカリ性なので、胃薬と同じ効…

水溶性タンパク質を多く含むエサを与えるとき、ルーメン微生物にとって良いエサとは?

「酪農プラス」という、酪農関連のHPが大学で運営されています。 そこに、質問コーナーというのがあって、市民からの疑問に大学の教員が回答しています。 酪農経営にプラスになる情報を発信!| 酪農ジャーナル電子版【酪農PLUS+】 今回、酪農家から、私に質…

MUN(乳中尿素態窒素)と、乳牛の健康

ある酪農生産者から質問が届きました。 「牛乳中のMUN濃度が低すぎると、牛は身体(筋肉)を削って乳タンパク生産をするので、免疫力が低下するのではないか?」 といったご質問でした。 第一胃(ルーメン)内で、エサに含まれるタンパク質が、ルーメン微生…

ルーメン液の発酵酸は、ガスクロマトグラフで分析します

中学くらいの理科で習う実験方法に、クロマトグラフがあります。 色の付いた何種類かの液体を溶かした溶液を用意します。そこに細長い短冊状の紙(ろ紙)を浸してやると、紙の上の方に色水が上がってきます。 色水の種類によって、紙のどこまで上昇するかが…

牛に味噌汁

先日の学生ゼミ発表。 3年生のF君が、牛に味噌汁を飲ませることについて、発表しました。(おもしろいテーマを見つけてきたものです) 以下、彼の発表を中心に紹介します。 まず、味噌って何から作られるのでしょう? 主原料は大豆ですね。 大豆を主体として…

ルーメンアシドーシスと牛の行動について

先日のフランスでの国際学会で、ルーメンアシドーシス(ルーメン発酵による酸性化)と乳牛の行動について興味深い講演がありました。 演者はカナダの研究者で、私もしばしば研究のヒントをもらっているDeVries博士です。 彼は乳牛の採食行動についての権威で…

ルーメンアシドーシスに関する最新研究

今回の国際学会は、ISNH2018という学会でした。日本語にすると、国際草食動物栄養学会ということになるでしょうか。 メインテーマは、ウシ、ヒツジなどの草食家畜の栄養学です。 私の専門に関するところで、発表題数の多かった話題は次のような感じです。 ・…

乳牛のルーメン内容物は、堅く詰まっていればよいのか?

今日は、酪農のテクニカルな話しです。 最新号の、酪農技術雑誌「デーリィマン5月号」に、私の書いた原稿が掲載されました。 乳牛に、乳を大量に生産してもらおうとすると、穀物を多く与えなくてはいけません。 穀物は、エネルギー価が高く、牛に与えると乳…

原稿執筆:反芻の新しい考え方

新学期の始まりです どこの職場も新年度は、多少なりと緊張感を持って仕事がスタートしますよね。 大学では、3月までは、比較的自己に向かう仕事中心のスタイルが可能でしたが、4月からは当然ながら、学生に向かう仕事中心のスタイルにガラッと変わります。 …

ウシは反芻によってルーメンにアルカリ性の唾液を送り込む

みなさん、おばんでした。 一日中、雨の札幌。小学校の運動会は軒並み延期。 明日も中止になると、来週に持ち越しになってしまいます。 来週末は娘との面会予定なので、なんとしても明日実施してもらいたいものですが。。。てるてる坊主をぶら下げたい気分で…

ウシは反芻することで微生物の手助けをしている

みなさん、おばんでした。 札幌もようやく暑くなってきました。 さて、ステップファミリーの我が家、長男は今日からあちらの父親宅に面会です。 お互い休戦でのんびり気分転換です(^^;) あ~、思春期の息子ってめんどくさい~ 大好きな金曜日。 妻とワインち…

牛の採食行動:歯の構造と草の食べ方

ようやく北海道も暖かくなってきました。 今日はこれから愛知県豊橋へ移動です。私は愛知県は名古屋しか行ったことがないので、三河方面に行けるとあって楽しみです。三河方面は酪農地帯なのかな。 ウシの咀嚼行動について考えよう 私のは最近ラジオ英会話を…

ウシの一生:哺育期~離乳、ルーメンの発達

みなさん、おばんでした。 ウシの一生ということで、章立てして始めましたが、書いているとだんだん細かくなってきて先に進めなくなってきました(^^;) まずは、哺乳子牛について、今回で一旦整理し、それ以降は改めて紹介しようと思います。 ウシの一生が長…

腸内細菌とルーメン細菌、どちらも健康や免疫を改善する

みなさん、おばんでした。明日からのワークショップのために、帯広に前日入りしました。 寒い、寒い。明日は一ケタ代の気温とのこと。ダウンジャケットを引っ張り出してきて着てきました。 晩ご飯は少しへんぴなところにあるラーメン屋で、中華チラシとラー…

乳牛のエサ設計:タンパク質の4

WBC 日本vsオランダ 昨日の中田はよう打った~ 宮西のピンチを救った増井の日ハムリレーもすごかった! ******* 今日からバンコク出張のため、成田空港に来ました。 接続便の関係で空き時間が豊富にあるので、仕事に励んでいます。職場にいるとヒトと…

乳牛のエサ設計:タンパク質の3

おばんです。 今日は次男との空手教室。またもや全身バッキバキです。入門したてにもかかわらず、仮初段扱いにしてもらえて黒帯が届きました。高校以来の空手再開で動きはさび付いていますが、先に入門し10級からこつこつと昇級している皆さんに申し訳ないの…

乳牛のエサ設計:タンパク質の2

おばんです。 羽田空港からの更新。 長ーい、2日間の旅を終えようとしています。 疲れたけど、息子の経験として何か残ってくれればうれしいです。 さて、今日は頑張ってタンパク質栄養の第2弾です。 ルーメンとタンパク質 ここまで、タンパク質の構造につい…

乳牛のエサ設計:タンパク質

おばんです。 ブログタイトルでは乳牛と酪農を科学するとうたっていますが、日々の雑感が多く、あまりアカデミックな話しになっていませんでした。少し反省して、酪農科学の学びについても触れたいと思います。 まずはしばらくご無沙汰していた乳牛のエサ設…

乳牛を使った研究

おばんです。 今日はミャンマー人のMさんの研究結果の解析に手間取り、クタクタになりました。 乳牛を使った研究、特に飼養試験といって飼料やサプリメントの評価試験はきれいな成果の出にくい分野になります。 統計処理 あるエサを食べさせたウシと、食べさ…

ヒトが草を食べるとどうなるのか??

先日のエントリー「エサとサプリ、どちらが良いのか?」を書いて、妻に読んでもらいました。書き慣れていないので、コメントをもらいたくて(^^ ) そうしたところ、妻からは「まあいいんじゃないの」との温かいお言葉をいただきましたが、会話の中で、「じゃ…

こちらルミノロジー研究室

前から始めたかったブログを始めます。 私の研究生活は、学生時代のめん羊を用いた研究から始まり、今の職場に勤めてから乳牛に研究対象が移り、25年近くになります。この間に学んできたこと、研究に関すること、酪農生産の現場で見聞きする疑問点、私の研究…