おばんです。
今日も気合いで朝から仕事!と早朝外に出てみると。。。
なんと雪が積もっているではありませんか!
久しぶりの雪かきでした。
今週末から日本畜産学会で神戸ですが、あちらはもう桜が咲いているのでしょう。
日本は南北に長いことを実感した朝でした。
今日は会議が3本に来客が1件。
学会のスライド作りに専念したいが、そうも言ってられない1日になりました。
今朝一発目の会議では、私が責任者を務める酪農生産ステーションのメンバーに、今期で私の任期が終わるのでその挨拶をしました。
これまでの2年間を振り返り、常に農場の応援団として振る舞ってきたこと、私自身も農場のみなさんに育てられ成長することができたことの感謝を伝えました。私は任期満了で組織から抜けますが、これからも農場の応援団であることと、一流の農場を作り上げて、学内からも学外の生産者からも尊敬され目標とされるトップファーマーを目指して欲しいとお願いして挨拶を締めくくりました。
さて、平成28年度もあと1週間。あちこちで締めくくりの挨拶が述べられていることでしょうが、北海道酪農検定検査協会から「平成28年(2016) 年間検定成績」が発表になりましたので、そちらを紹介します。
北海道酪農・乳業の発展とともに歩む・・・北海道酪農検定検査協会
北海道酪農の2016年の年間成績
2016年1~12月の年間検定成績によると、経産牛の乳量は9,502kgでした。
昨年は9,306kgだったので、1年間で196kgの乳量が増加したことになります。
1日に直すと540ml。去年の同じ日と比べて0.5kgの牛乳が増えていることになります。
ちなみに、今の牛乳のお値段は1kg当たり100円です。コストを無視した単純計算だと、酪農家は2015年と比べて、1頭あたり196kg×100円=19,600円の増収になっています。
ちなみに10年前の平成18年度は8,651kgと今年よりも851kgも少ない値でした。
ホルスタイン種乳牛の遺伝的改良のすさまじさがうかがい知れます。
良く言われることですが、ホルスタインは牛乳をたくさん出すように改良されているので、身体にストレスがかかり病気になりやすく、短命になっていると考えられています。
ところが、今回の年間成績からは、そういったステレオタイプの定説に一石を投じるデータが示されていました。
ヒトのお母さんは授乳期に乳腺炎になったりしますが、ウシも泌乳期間に乳房炎にかかります。乳頭口から細菌が侵入し、感染することが乳房炎発症の原因です。免疫力が低下していると乳房炎にかかりやすいと言われており、一般に高乳量のウシほどかかりやすいと考えられています。
乳房炎にかかると、乳中に白血球などの免疫関連の細胞が排出されます。これを数値化したものが乳中体細胞数です。乳中体細胞数が多いと、乳房炎の発症が疑われます。おおむね1ml当たり30万個の体細胞数が検出されると乳房炎と判断されます。
北海道酪農検定検査協会のHPでは、乳量階層別の乳中体細胞数のグラフが掲載されています。↓
これを見ますと、多くの地区で乳量が増えるほど体細胞数が減少していることが分かります。
これはとても興味深い結果です。
乳量が多く、ストレスがかかっていると考えられがちな牛ほど健康な乳房だという結果が得られたからです。
逆に乳量があまり出ていなくストレスがかかっていないと考えられている牛の体細胞数は高くなる傾向が見て取れます。
私も、日頃牛の管理をしていて思いますが、乳量を高めようと思ったら牛は健康でなくてはいけません。病気がちだとどうしても乳量は伸びないのです。
したがって、ウシに対してストレスのかからない上手な飼い方ができて、健康管理もばっちりな農場が乳量も多くなるということを、このデータは物語っています。
やみくもに高乳量を追求するとウシにストレスがかかる、という考えは正しくないことが分かります。ストレスがかかっていないからこそ乳がたくさん出る、と取らえる方が現実的かもしれません。
何事もステレオタイプで決めつけるのは良いことではなく、物事を違った角度から眺めることの大切さを、このデータは教えてくれます。
この関連、続けます。