乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

大学

学生時代における無から有を生み出すほぼ唯一の経験とは

昨今、アクティブラーニングといって、生徒や学生の主体性を引き出す授業形態が注目されています。これまでのように受け身一辺倒の授業では、考える力や、考えたことを伝える力が身につかないという発想から、注目を集めているようです。 大学において、学生…

地方私立大学の乳牛栄養学を専門にする教員はこの時期何をしているのか?

先週から分析(実験)ウィークが始まりました~実験室で、かけずり回る立ち仕事で毎日グッタリです~ 今年度は、エサやルーメン内容物やルーメン液の化学成分を分析します。そんなに複雑多岐ではないですが、それでも乾物、タンパク質、繊維質(NDF)の各含…

苦しみながらも頑張っている学生A君

本学では、教員は大きく二つの担任としての役割を持ちます。 一つはわかりやすいところで、研究室に配属になる3年次以上の学生です。私の研究室には、3年生8人、4年生8人の16人が在籍しています。彼からみると、私のような立場は研究室の指導教官ということ…

子育ての悩みを少しだけ楽にする方法

私の大学では保護者懇談会という行事があります。普段訪れる機会のない子供の通っている大学を訪問し、希望すれば子を指導している教員と面談をすることができます。 私は2年生の担任(アドバイザー)と3~4年生のゼミ指導教官を任されています。この土曜日に…

学習するのに最適なタイミングとは

私の研究室は、夏休みから秋にかけてが卒論研究のピークです。牛という生き物を管理しながらの研究のため、朝に夜に、平日に休日に、サンプリングやデータ測定のために牛舎に通うことになります。 学生は自分の卒論だけで良いのですが、教員はいくつもの卒論…

限界を超えた仕事量から得られる自己成長とは

おばんでした。 帯広から札幌へ向かう特急内での更新です。 いやあ頑張りました。そして、燃え尽きました。 何を頑張ったかというと、若手獣医師の方たちを対象にした学習会です。休日にも関わらず45人が集まってくださりました。 今回のテーマは私の専門で…

研究者のノルマとは?

先週末に北海道畜産草地学会が新得町の畜産試験場で行われました。私は、昨年、この学会の学会賞をいただきました。非常にありがたく、かつ名誉なことです。 その受賞式と講演は昨年の学会で行われる予定でしたが、北海道を襲った大型台風の影響で大会自体が…

密度の濃い、長い1日を過ごしました:大学教員はハードワーク

おばんでした、イズミです。 今日は疲れました~ 卒論研究が本格始動したため、学生とともにサンプリングが始まったからです。 朝4時半に起床し、5時からの搾乳サンプリング、6時半に搾乳が終わった後は実験対象牛の胃液採取、牛舎から上がって朝食休憩を兼…

大学生、アルバイト、学びの時間

私が大学に勤めて今年で20年になります。この20年、あるいは私が学生時代の25年前と比べて大きく変化したと思えることがあります。 それは大学生の時間です。 卒論の打合せをしたいとゼミの学生に持ちかけても、それが複数人の場合、一発で日時を決められる…

残念!論文投稿が却下されました:学会誌への研究論文が公表されるまで

私たち、研究者にとって研究の成果を世に公表することはとても重要な使命です。 私の専門である乳牛の栄養・飼養学では、新しいエサや牛の飼い方について研究します。その結果、有益であることが確認できた技術については、酪農家や関係機関あるいは消費者に…

牛乳の個性:牛乳の異臭の話し

今日の夕方、学内で牛乳の異臭に関する勉強会がありました。 農家で搾られた牛乳は冷蔵タンクにためられ、タンクローリーが集乳に来てくれるのを待ちます。たいていの酪農場では2日に1回の集乳で、大きな牧場では毎日というところもあります。 集乳を待つ間…

中学生の理科と大学生の家畜栄養学:教養科目の学びとは?

みなさん、おばんでした。 私が受け持っている講義に家畜栄養学があります。3人の教員で分担していますが、私の担当はウシをはじめとする反芻家畜の消化管や栄養素の消化・吸収です。 第一胃内の消化生理は独特なメカニズムなので、家畜栄養学独自の分野にな…

仲間と飲む幸せ

今日は、事務方の仲間と激しく飲んできました。 僕は、教員、事務方、あるいは学生も含めみんなメンコイ人は大好きです。 自分もエラそうにするのは嫌いで、常に謙虚に生きているつもりです。 ↓4歳の次男が大得意で作ったラキュー ↓メンコイ今日の亀ちゃん …

アメリカの大学の農業普及に対する底力

岡山からの更新です。 今回の1泊出張に2冊の本を持ってきました。1冊は前回の日本畜産学会に持参した栄養学の本。(なかなかこういう堅い本は読む時間がとれません。。。) もう1冊は栗山監督が著した「栗山魂」です。 このタイトル、ちょっとクサくて栗山監…

卒業生からの贈り物とタイのドライフルーツのおいしい驚き

昨日は卒業式。夜は卒業パーティーでした。 学生たちは皆楽しそうに、キラキラと輝いていた。前にも書いたけど、教員は学生を送り出す側。彼らを送り出し、心に少しの間ぽっかりと穴が開いた状態になる。ただし、それも3月下旬の学会発表と4月からの新学期で…

卒業式当日に、牛乳の値段を考える

おばんです。 今日は大学の卒業式。これから、札幌のホテルで卒業パーティーです。 私が指導するルミノロジー研究室は7人の卒業生を送り出しました。みな、それぞれの進路へ巣立っていきます。企業に勤める者、海外へ留学する者、実家に戻って牛飼いをする者…

ミャンマーからの留学生Mさん帰国

おばんです。 今日も早朝から仕事でした。仕事が立て込んでいます。 最近、朝6時出勤が続いていて疲労感が抜けません。。。 早朝出勤の楽しみは、集中力を高めた仕事量と、妻が作り置いてくれている弁当です。昼に加えて朝の分も弁当を持たせてくれます。 こ…

圧倒的な集中力で仕事をした日

おばんです。 今日は晩ご飯を食べながら、家族で「ズートピア」の続きを観ました。 十勝若牛のローストビーフ 今日の晩ご飯、先日の清水町出張土産の十勝若牛のローストビーフをいただきました。十勝若牛はホルスタインの雄牛の肉です。通常のホルスタイン雄…

乳牛を使った研究

おばんです。 今日はミャンマー人のMさんの研究結果の解析に手間取り、クタクタになりました。 乳牛を使った研究、特に飼養試験といって飼料やサプリメントの評価試験はきれいな成果の出にくい分野になります。 統計処理 あるエサを食べさせたウシと、食べさ…

N教授最終講義

おばんです。 今日はN教授の最終講義がありました。 私の大学では定年退職する先生は最後に「最終講義」を行うのが通例になっています。私が長らく所属していた「附属農場」には、これまでに多くの教員、技師の先輩たちが在籍していましたが、最もお世話にな…

企業研修に参加してきました

おばんです。 ある有名企業が独自に企画しているビジネス研修に農場スタッフとともに参加してきました。大学教員や技師は現場での経験は豊富ですが、いかんせん民間の経験が乏しいため、定期的に外からの刺激を受けていないと井の中の蛙になってしまいます。…

ミャンマーという国

おばんです。 ミャンマーと聞いて・・ スラスラといくつも関連するキーワードをあげられる人は、かなりのミャンマー通と言ってもよいのではないでしょうか。 少なくとも私はつい昨年の春まで、ミャンマーと聞いて「元ビルマといっていた国ね」「スーチーさん…

自己紹介、少し詳しく

生い立ち 1971年産まれ、札幌育ち ブログスタート時で45歳です。 現在は北海道の江別市にある酪農学園大学で乳牛の第一胃(ルーメン)に関する栄養学や乳牛の飼養管理システムについての研究をしています。実務も兼ねて、乳牛の最適な飼料設計に関する研究に…

ムダにならない勉強法?

私は読書が好きで、子どもの頃から何百冊と本を読んできました。 そんな私には、読書に関してとても大きな悩みがあります。それは、読んだ本の中身を覚えていないということです。中身を覚えていないどころか、タイトルを忘れてしまうものもあって、買ってき…

エサとサプリ、どちらが良いのか?

卒論発表会を来週に控え、当研究室でも学生とディスカッションする時間が増えています。 ある学生の卒論は、飼料添加剤を乳牛に給与した場合に乳生産が向上するかどうかを調べるといったもの。ヒトと同じで乳牛も添加剤(サプリメント)を与えることがありま…

こちらルミノロジー研究室

前から始めたかったブログを始めます。 私の研究生活は、学生時代のめん羊を用いた研究から始まり、今の職場に勤めてから乳牛に研究対象が移り、25年近くになります。この間に学んできたこと、研究に関すること、酪農生産の現場で見聞きする疑問点、私の研究…