乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

セミナー

酪農教育ファームの研修会に参加してきました

数年前に、同僚のすすめもあって酪農教育ファームのファシリテーターという資格を取りました。 子供たちや市民に対して、酪農場とはどんなところなのか、乳牛はどのようにしてミルクを与えてくれるのか、酪農家の仕事内容は?、といったことを伝えるのが、酪…

粗飼料生産の効率化と品質向上:アメリカ編

アメリカの酪農研修に参加しています。 会場となっているのは、我々業界人にとっては、その名がとどろくウイリアムマイナー研究所です。 論文や海外の酪農情報で目にする著名な講師陣が、研修を取り仕切ってくれています。 研究所は、本学と同様に畜舎や圃場…

普及の本質は愛なり

酪農業界に身を置かない読者さんにとって、「普及」という言葉を聞いてどのような意味を思い起こすでしょうか? スマホの普及? 電気自動車の普及? 電子マネーの普及? 新しい物事が世の中に広まっていく、そんなイメージではないでしょうか? 酪農の現場に…

アメリカ版乳牛栄養学の教科書:NRC2001とNASEM2021

成人男子が1日に必要とするカロリーは二千数百キロカロリーと言われています。 また、1日に350gの野菜を食べましょうという目標値もどこかで目にしたことがあります。 このように、どれだけの栄養を1日に食べる必要があるという値を要求量といいます。 ヒト…

「飼料設計が乳生産に与える影響度は15%」

酪農の師匠Kさんから飼料設計を中心とした講義を受ける機会がありました。 その講義で、彼の口から盛んに強調された言葉がタイトルになります。 乳生産にとって飼料設計は重要であるが、それ以上に、エサを食わせる技術、牛にエサを食べてもらえる環境作りが…

「飼料設計が乳生産に与える影響度は15%」

酪農の師匠Kさんから飼料設計を中心とした講義を受ける機会がありました。 その講義で、彼の口から盛んに強調された言葉がタイトルになります。 乳生産にとって飼料設計は重要であるが、それ以上に、エサを食わせる技術、牛にエサを食べてもらえる環境作りが…

「飼料設計が乳生産に与える影響度は15%」

酪農の師匠Kさんから飼料設計を中心とした講義を受ける機会がありました。 その講義で、彼の口から盛んに強調された言葉がタイトルになります。 乳生産にとって飼料設計は重要であるが、それ以上に、エサを食わせる技術、牛にエサを食べてもらえる環境作りが…

スマート化による農業の進化

現代の酪農、農業では規模拡大や労働力不足から、1人あたりの作業量が増加する傾向にあります。 さらに、生産効率:たとえば家畜1頭あたりの生産量、飼料1kg当たりの生産量、畑1ヘクタール当りの生産量、労働者1人あたりの生産量、労働1時間あたりの生産量と…

スマート化による農業の進化

現代の酪農、農業では規模拡大や労働力不足から、1人あたりの作業量が増加する傾向にあります。 さらに、生産効率:たとえば家畜1頭あたりの生産量、飼料1kg当たりの生産量、畑1ヘクタール当りの生産量、労働者1人あたりの生産量、労働1時間あたりの生産量と…

首都圏の酪農事情を学んできました

東京に隣接した首都圏の獣医師の勉強会に呼ばれてセミナーをしてきました。 それに先立ち、近隣の酪農場6戸を見学させていただきました。 土地が豊富で自給粗飼料を利用する北海道酪農とは異なり、ほぼ完全他給(全て購入飼料)の経営がほとんどでした。 一…

首都圏の酪農事情を学んできました

東京に隣接した首都圏の獣医師の勉強会に呼ばれてセミナーをしてきました。 それに先立ち、近隣の酪農場6戸を見学させていただきました。 土地が豊富で自給粗飼料を利用する北海道酪農とは異なり、ほぼ完全他給(全て購入飼料)の経営がほとんどでした。 一…

橋下徹さんと高学歴ニートの論戦がアツかった

先日、林修さんの番組で橋下徹さんと高学歴ニートの若者たちとのトークバトルがありました。 「マジメに働かなくてもいいべ」という若者たちに、橋本さんがアツく、持論を説くという構成でした。 ↓番組HPから、放送を見ることができました www.youtube.com …

子牛と酪農場とガスクロ、学びのアウトプット

先々週と先週は講習や視察など学びが多数ありました。 多くの学びを得ましたが、インプットが多すぎると記憶にとどまりません。ここは、ひとつアウトプットしておきたいと思います。 ・哺乳子牛のセミナー初乳の飲ませ方、哺乳量の考え方、離乳方法と離乳移…

気候変動と酪農

先週末、札幌で開催された酪農シンポジウムに参加してきました。 テーマは、気候変動と酪農現場のリスク管理でした。主催は雪印メグミルクの酪農総合研究所です。 気象予報士の講演では、北海道の年平均気温がこの100年で1.59℃の、日降水量70mm以上の豪雨の…

酪農セミナーで、カウコンフォートと牛舎施設について学んできました

今日は朝イチで講義を済ませ、札幌の酪農セミナーに参加してきました。 ちなみに、今朝の講義は、2年生に対しての研究室紹介でした。 今日は私を含めて3研究室の紹介がありました。 私が乳牛栄養学、あとの二人の先生は社会科学と人文科学系でした。 社会学…

アンケート調査の奥深さを学ぶ

兵庫県から移動して、東京で統計学のセミナーを受講してきました。 テーマはアンケート調査についてです。 アンケートは、私の研究室でも、卒論研究で過去に実施したことがあります。 農家や研究機関を訪問するときは、厳密にはアンケートとはいえないかもし…

回り道したヒトの味わい:1年生獣医師との出会いから

先週末、道東の中標津町で若手獣医師たちに対して栄養学の講義をしてきました。 これまで、十勝の獣医師とは一緒に勉強したことがありますが、さらに東の根室地区は初めてです。 勉強会は1時間も予定時間を超過して、熱のこもった講義となりました。 今回の…

ヨーロッパにおける畜産物生産に対する動向

世界的な巨大飼料メーカーのセミナーがありました。 セミナーでは、いくつものトピックスがありましたが、家畜飼料への抗生物質の添加状況の国際比較と、ヨーロッパにおける畜産物に対する消費者の考え方についての話題が興味深かったです。 家畜飼料への抗…

ウガンダ人から、ウガンダ酪農について学びました

今日、ウガンダから本学に来校していた酪農家、酪農獣医師のみなさんに対して講義をしました。 受講生が3人、通訳を交えて5人という少人数の学習会だったので、横道にそれながら和気あいあいと、活発に終えることができました。 ちなみにウガンダという国、…

乳酸発酵をコントロールして、良質サイレージや発酵TMRを作ります

今日は、兵庫県から、獣医師と飼料メーカーの4名の来客があり、サイレージ発酵や発酵TMR調製のポイントについて、学習会を行いました。 北海道では、畑でとれる牧草やトウモロコシを貯蔵するために、サイレージを作ります。 サイレージとは、飼料を乳酸発酵…

搾乳ロボットセミナー:北米の最新情報

搾乳ロボットという機械が日の出の勢いで普及しています。これは日本に限らず、全世界的傾向です。 搾乳ロボット - Google 検索 通常、搾乳作業は人の手で行います。手搾りではありませんが、ミルカーとよばれる搾乳機器を牛の乳頭に装着する作業は人が行い…

理論と現場感覚のズレ

先日、酪農セミナーに参加してきました。 この時期は、農閑期でもあり、実習もないので、本学の農場技師とともに参加する機会が多くあります。 その時も牛舎の技師と一緒でした。 技師と参加したことで、興味深い経験をしました。 その日は、新進気鋭の外国…

プレゼンの極意とは? 受講生の積極的反応は、講師を乗せる!

高校に出向いての出前授業と、農協職員を対象としたセミナーと、立て続けに、外部講義をこなしました。 高校では、興味深い経験をしました。 私は、普段、大学で学生に講義をするとき、「今日は一体感があって、気持ちよく講義ができた」と思うとき、「今日…

畜産の研究のバランス感覚 現場と研究室のはざま

今日、嬉しい電話が届きました。 数年前から研究をともにしてきた、宮崎県の獣医師A先生から電話があったのです。 この春から、仕事を続けながら、宮崎大学の博士課程に入学したという連絡でした。 彼は、牛の治療や飼育管理に、私が専門とする研究の視点を…

科学的、合理的思考のすすめ:搾乳ロボット内での、濃厚飼料の給与法

ここ数日、立て続けに、北米で活躍する研究者による、酪農や研究についての考え方について学ぶ機会がありました。 一つは、先日もご紹介した、帯広のセミナーです。 今日は、マジメに、酪農の技術について触れたいと思います。 日本では、搾乳ロボットが、飛…

酪農セミナーでの、気づきと出会い

帯広に昨夜入り、今日は朝から酪農セミナーを受講してきました。 もう、おなじみになった陽気なアメリカ人講師とその弟子の若手研究員に、講義を受けてきました。 今日は、帰りの汽車を待つ間の短時間更新です。 気づきをいくつか。 ・ルーメンモデルが熱い …

知識を伝えることと人柄 (おまけ:ラストに妻のアイデア弁当の紹介(^^))

先日、とある酪農セミナーに参加してきました。 ここ数年、私は、セミナーで講師として、話す機会が増えてきました。 大学での講義と、セミナーは、伝え方が微妙に異なります。黒板が、あるかないかというのが、一番の違いになります。 私は、講義では、必ず…

子宮の科学:繁殖と栄養に関する酪農セミナー

今日、明日と帯広で、繁殖と栄養学をメインとした、酪農セミナーに参加しています。 このセミナーは、全酪連が主催する、全国規模のセミナーで、毎年開催されます。講師は、毎回アメリカでの一流研究者が務めます。 今回は、ブラジル人でイリノイ大学の先生…

教えることが、一番の学び

先週の土曜日、帯広で、十勝青年獣医師会に所属する、若手獣医師に今年度最後の講義をしてきました。 今回のテーマは、飼料設計でした。最近はまっている、協同学習のスタイルを取り入れてのグループワークを実践してきました(今まで、協同の字が間違ってい…

酪農現場で輝いている女性たちから元気をもらう! ~酪農女性サミット2017に参加して~

酪農女性サミット2017というイベントが札幌で開催されました。 100人以上の参加者で、4分の3が女性というイベントでした。 私は、本学に勤める20年前に酪農場で実習生として勤務していました。 私の牧場の親方は先進的な考えの持ち主でしたが、農村には「男…