乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

研究

酪酸の効果:泌乳牛に酪酸を与えてみると・・

酪酸という脂肪酸があります。 脂肪酸とは、炭素と水素がいくつもつながった物質で、中性脂肪の材料となります。中性脂肪は、脂肪酸が三つくっついてできます。 酪酸は、炭素が4個くっついた脂肪酸で、比較的小さな分子です。小さな分子なので、空気中にも揮…

商品開発の難しさ:酪農関連の飼料や添加剤の場合

ここ最近、弁当ブログのようになっています。しかも、そちらの方が評判が良いという・・(^^;) たまには、マジメに酪農のお話しをしましょう。 乳牛の飼料や添加剤(サプリメント)は、様々な製造メーカーが商品化して売り出すためにしのぎを削っています。 …

論文発行、嬉しさが染みいります

昨年の今頃、牛舎で卒論研究に邁進していました。 学生とともに夜討ち朝駆けで、牛舎に日参し、データ整理も同時に進めました。 学生の卒論とは別に、私自身も間髪入れずに論文執筆に取りかかり、GW明けには投稿まで持っていきました。 投稿先は、酪農業界の…

実験の分析で悪戦苦闘しました

今日から東京出張です。午前中は、大学でゼミ演習と研究打合せをしてきましたが、ゼミ室で学生がストーブを焚いていました。東京はまだ半袖。。。 さて、この春から、私の研究パートナーとして、家畜飼料学のD助教が着任しました。 卒論研究の一環で、彼とと…

自分で自分の仕事のテーマを見つけるのが仕事

複雑なタイトルですが、大学教員の仕事のすすめ方をひと言で表すと、このような言い方もできます。 大学の研究室体制には、大きく二つの形態があります。 一つは講座、ユニットといった、複数教員がチームで活動するスタイルです。一般には、○○学研究室とい…

畜産の研究者が進む道

大学時代の先輩と食事をしました。同業の先輩と話しをする中、改めて畜産研究者として意識し続けなければいけないことを考えました。 現代の研究者は、研究成果を学会で発表したり、論文として公表することを求められています。このためには基礎的な、学術的…

2019アメリカ酪農学会報告

今回のアメリカで開催された学会ですが、酪農科学学会という、乳牛専門の学会になります。 日本では、私たちが所属する最大の学会は日本畜産学会なので、乳牛、肉牛、ブタ、トリなど畜産全般が対象となります。 乳牛専門の学会があるということからしても、…

猛烈インプットした先に現れたもの

私がブログを書くときは、テキストエディタを使います。ブログ用にテクストエディタを開くのがとても久しぶりのような気がします。 前回の更新が5/5なので、10日ぶりです。このブログを始めてから、最も長い空白期間ではないでしょうか。 私は5月の中旬まで…

うれしい論文受理報告

3年前、私の研究室にミャンマーからの留学生ミンさんが在籍していました。 彼は、母国では獣医の資格を有する大学教員で、本学留学中は免疫と乳生産についての研究に取り組みました。 当研究室に在籍していた時から精力的に研究成果について取りまとめ、帰国…

ルーメン液の発酵酸は、ガスクロマトグラフで分析します

中学くらいの理科で習う実験方法に、クロマトグラフがあります。 色の付いた何種類かの液体を溶かした溶液を用意します。そこに細長い短冊状の紙(ろ紙)を浸してやると、紙の上の方に色水が上がってきます。 色水の種類によって、紙のどこまで上昇するかが…

スマート酪農による牛群管理

明後日1/23は大学の卒論発表会があります。今年の私の研究室では、4課題の卒論発表があります。 テーマの一つにスマート酪農に関するものがありますので、今日はその紹介をいたします。 乳牛群を適切に管理するためには、様々な情報を整理、集計する必要があ…

2018年、仕事の棚卸し

年明け、日々の仕事が、なかなか充実しています。 先週から今週にかけて、4社の企業の方とミーティングの時間を持ちました。 新しい研究の芽であったり、すでに成果の出た研究の果実だったり、と実りのある意見交換の時間になりました。 また、私のゼミの卒…

大学教員の醍醐味 いつでも学べることのありがたさ

帯広に来ました。ウシのエサに関する研究グループの会議に参加するためです。 私は、そのグループのメンバーではないのですが、新しいエサの取り組みについての検証を依頼されました。そこで、研究室の3年生たちと、検証実験を行いました。その成果について…

飼料の物理的有効度を調べるには? ペンステートパーティクルセパレーター(PSPS)

今日は酪農の技術的な話です。 牛には、反芻するという、大切な仕事があります。反芻とは、一度食べたエサを吐き戻し、細かくなるまで再度咀嚼する活動です。 どれくらい細かくなるまで、反芻を繰り返すかというと、ヒツジでは約1mm、牛では数mmと考えられて…

畜産の研究のバランス感覚 現場と研究室のはざま

今日、嬉しい電話が届きました。 数年前から研究をともにしてきた、宮崎県の獣医師A先生から電話があったのです。 この春から、仕事を続けながら、宮崎大学の博士課程に入学したという連絡でした。 彼は、牛の治療や飼育管理に、私が専門とする研究の視点を…

乳牛のルーメン内容物は、堅く詰まっていればよいのか?

今日は、酪農のテクニカルな話しです。 最新号の、酪農技術雑誌「デーリィマン5月号」に、私の書いた原稿が掲載されました。 乳牛に、乳を大量に生産してもらおうとすると、穀物を多く与えなくてはいけません。 穀物は、エネルギー価が高く、牛に与えると乳…

エサの栄養価、その値はどのように求めているのでしょうか?

私の研究、教育以外の大きな仕事として、農場の乳牛群の飼料設計があります。 牛の乳生産に合わせて、エサのメニュー(配合割合)を決めるというものです。飼料設計は、ルーチンワークではありますが、研究的側面も含まれています。 先日、現在使用している…

チームビルディングと、チームの底力

個人よりも、チームの方がすぐれていること、 信頼できるチームを作るのは、そんなに難しいことではないこと、 たまたま、チームというものについて、二日続けて、実感する機会がありました。 今年、私の研究分野では、超大物の、カナダで活躍するO教授が、…

原稿執筆:反芻の新しい考え方

新学期の始まりです どこの職場も新年度は、多少なりと緊張感を持って仕事がスタートしますよね。 大学では、3月までは、比較的自己に向かう仕事中心のスタイルが可能でしたが、4月からは当然ながら、学生に向かう仕事中心のスタイルにガラッと変わります。 …

現場で役に立ってこその研究

今週は学会ウイーク。 今日まで熊本で、日本草地学会に参加していました。 熊本は、桜が満開です。今は、東京に向けて移動中です。 (羽田でアクシデント。滑走路に穴?!なまら遅れました。。。) さて、草地学会で、ひとつおもしろい発表がありました。 牧…

春の雪嵐と新飼料開発のための上京

今日は都内北部で、企業との研究打合せの場を持ちました。 午後2時半から会議のため、10時20分に千歳発の便で発つ予定でした。 ところが、折からの風雪で、飛行機が飛びません! 搭乗後着席して、ウトウトと眠ってしまいました。 目覚めて、窓の外に広がる雪…

なくて七癖:ウシにも悪い癖がある?!

みなさんは身近な人で気になる癖はありますか? 話すときに出る「えー」みたいな口癖などは、人前でしゃべる機会の多い多い私のような稼業では注意すべき大切なポイントになります。 私の尊敬するラジオパーソナリティーの日高晤郎さんが、若手アナウンサー…

研究者のノルマとは?

先週末に北海道畜産草地学会が新得町の畜産試験場で行われました。私は、昨年、この学会の学会賞をいただきました。非常にありがたく、かつ名誉なことです。 その受賞式と講演は昨年の学会で行われる予定でしたが、北海道を襲った大型台風の影響で大会自体が…

密度の濃い、長い1日を過ごしました:大学教員はハードワーク

おばんでした、イズミです。 今日は疲れました~ 卒論研究が本格始動したため、学生とともにサンプリングが始まったからです。 朝4時半に起床し、5時からの搾乳サンプリング、6時半に搾乳が終わった後は実験対象牛の胃液採取、牛舎から上がって朝食休憩を兼…

残念!論文投稿が却下されました:学会誌への研究論文が公表されるまで

私たち、研究者にとって研究の成果を世に公表することはとても重要な使命です。 私の専門である乳牛の栄養・飼養学では、新しいエサや牛の飼い方について研究します。その結果、有益であることが確認できた技術については、酪農家や関係機関あるいは消費者に…

異分野の融合で世界が広がる

神戸空港ようやく暖かくなって、今日は日差しが照ると暑いくらいです。新千歳に向かう便が悪天候でひょっとしたら折り返すかもしれないとのこと。え~、今頃になって雪なの?? 昨日、学会発表終了後に共同研究をしている企業と京都大学と3者で研究の打ち合…

学会は大量のインプットの場

今日も神戸は晴れ。桜は咲いていません。昨夜は北海道では食べる習慣のない、アジやサザエをいただきました。生きがよくておいしかった! 年に一度の学会でですが、たくさんの出会いと、多くの気づきが得られています。 このような大量の知的インプットは刺…

学会での講演

今日はこれから日本畜産学会の関連学会であるルーメン研究会で講演です。 歴史ある研究会からの招待講演ということでとても名誉なことです。 大先生なら慣れっこでしょうが、若輩の私は未だ緊張です。 早めに宿を出てスタバで予行演習やスライドの修正をして…

学会誌への投稿:他人から評価を受けることで成長できる(でも、つらい)

おばんです。 春めいてきて、我が家のカメちゃんも元気になってきました。 今日は学類の送別会でした。私は昨日まで休暇、月曜日から出張と時間がないので、酒も飲まずに会が引けてから再び仕事です。 そのかいあって、仕事を一本やっつけることができました…

人口密度と飼養密度

おばんです。 昨日、今日と、東京出張で街なかを歩いていて、人と3回接触しました。 皆、歩きスマホの人たちです。 札幌では、ヒトとの接触はほとんど経験したことがありません。 東京の人口密度が大きいことを実感します。 東京の人口密度についてすごいと…