乳牛と酪農を科学する

乳牛と酪農を科学する

乳牛の栄養や酪農システムについて大学教授がつぶやきます

2018-01-01から1年間の記事一覧

ルーメンアシドーシスに関する最新研究

今回の国際学会は、ISNH2018という学会でした。日本語にすると、国際草食動物栄養学会ということになるでしょうか。 メインテーマは、ウシ、ヒツジなどの草食家畜の栄養学です。 私の専門に関するところで、発表題数の多かった話題は次のような感じです。 ・…

フランスはありがとうの国、日本はすみませんの国

フランス滞在も最終日、間もなく搭乗です。 今回の旅は、北海道を襲った大地震のことで頭がいっぱいになり、学びや楽しみに集中できない時間が多くありました。 遠く離れていたため、地震発生当初は家族と連絡がとれず、かといって何もできず、とても苦しみ…

フランス クレルモンフェランでのポジティブな出会い

私は、今、フランス中央部、クレルモンフェランという街に来ています。地方でいうと、オーベルニュという地域です。 この街にフランスの国立農業研究所があり、しばしば国際学会が開かれます。 私も3回目の訪問ですが、ヨーロッパの畜産や、この地域の特色に…

負荷をかければかけるほど、ヒトは成長する

9月に入りました。この8月は、ヒトには限界はない、やればやるほど成長するということを実感しました。 まず、自分についてです。ほぼ1ヵ月の間に、合計で2万7千字の原稿依頼を受け、全て締切の1週間以上前に提出終えました。 今日から約1週間、私はフランス…

新しい技術、さっと使えるとヒトと、相手にしないヒト、その差は大きいです

先日、私の研究室の卒業生が突然(本当に突然)遊びに来てくれました。どれくらい突然だったかというと、自動車で3人やってきたのですが、その日の日の出前に訪ねてきて、いきなり大学に向かうことに決めたそうです(^^;) 卒業して10年目の教え子たちです。お…

牛乳の成分からウシの栄養状態が分かります

乳牛の栄養状態は、エネルギーバランスという言葉で表されます。エネルギーバランスがプラスまたは正の場合は、必要とするエネルギー量(エネルギー要求量)よりも摂取エネルギー量が多く、ウシは太っていきます。 逆に、エネルギーバランスがマイナスまたは…

巨大酪農団体と自由を求める酪農家

「ガイアの夜明け」が、またやってくれました。 昨夜、またまた、「ガイアの夜明け」が一石を投じる番組を放映しました。 2018年8月14日放送 巨大規制に挑む!~バターの闇 新たな戦い~|日経スペシャル ガイアの夜明け : テレビ東京 酪農家は、自分の所有…

豚肉の賞味期間に変化

豚肉には、消費期限があります。これは通常3日程度で、特殊な衛生技術を用いる場合で、6日程度となります。 日本農業新聞 - ロングライフ化進む 精肉販売 付加価値販売で消費増へ 産地・スーパー 制菌作用高めて鮮度維持 ちなみに、ウィキペディアによると、…

猛暑の東京で、ウシと甲子園について考える

火曜日から休暇を取って、妻と二人で東京バカンスに行ってきました。 子供たちは、祖父母に預けて、自分たちは楽しむという、不良夫婦です(^^;) こつこつとへそくった軍資金を元手に、おいしいものを食べ、妻に日頃の感謝のプレゼントを買ってあげました。 1…

ストレスなく食を制するための行動学

今頃、予定通りなら、大学の牛舎で作業をしている時間帯。羽田空港で、今夜のフライトを待つ時間をつぶしています。 なぜなら、昨夜の台風で、予定していた便が欠航になったためです。 昨日は、虫の知らせで、何げなく空港に向かう途中の品川駅でANAアプリを…

ひたすらiモードケータイを持っていたオジサンが、スマホに切り替えた話

私が、つい先週まで使ったいたケータイは、ドコモのiモード端末でした。NM705iといって、ノキアの北欧デザインが気に入っていました。 私は、「猫も杓子も」、「長いものに巻かれる」、みたいな言葉を遠ざけるように生きてきた、カワリモノの人間なので、少…

酪農の経営について考える実習

先週も紹介しましたが、今日も乳用家畜飼養学実習がありました。今日の内容は、酪農場の収支を考えるというものです。 私は農業経済学者ではないので、経営について詳しいことはわかりません。そこで、農場の経理担当の職員にもサポートを頼み、本学農場をモ…

若者の性のあり方について夫婦で話す

昨日、クローズアップ現代で、若者の性のあり方について特集されていました。 番組では、付き合っている男性からの、一方的な性行為に苦痛を感じている女性が、大勢紹介されていました。 痛みや嫌悪感を口にすることができず、いやいや求めに応じている女性…

作物を育てられない土で、ウシのエサを育てる話

私は、4年生対象に、乳用家畜飼養学実習を開講しています。 4年生は、卒業要件を満たしている学生が多く、履修者はあまり多くはありません。 人数が少ないので、フットワークの軽い実習ができるので、今回は、技師に学内圃場(飼料・牧草畑)を案内してもらう…

畜産物とマーケティング 売り方次第で、何でもばける

昨夜の未来世紀ジパングは、牛肉特集でした。中国や東南アジア諸国で、牛肉の消費が急増しており、それにともない日本でも牛肉の価格が上昇しているという内容でした。 番組の内容は、やや一面的な切り口で、専門家からするとツッコミどころが随所にみられま…

我が家のゴールデンウィーク

仕事が詰まりすぎて、時間が取れません。 ブログに書きたいネタもあるのですが、時間をひねり出すことができずにいます。 仕事に追われるのは、あまり本意ではありませんが、仕方ないですね。 今はガンバリ時、淡々と仕事をこなしていきます。 さて、ただ今…

学生は、講義の何割を理解しているのか?

私が担当している講義・実習に、家畜栄養学と家畜管理栄養学実験というのがあります。 そこでは、牛の第一胃(ルーメン)の栄養素の消化について、学んでもらいます。 先日、栄養学の講義の後に、わからないことがあるので、教えて欲しいという学生が私の部屋…

プレゼンの極意とは? 受講生の積極的反応は、講師を乗せる!

高校に出向いての出前授業と、農協職員を対象としたセミナーと、立て続けに、外部講義をこなしました。 高校では、興味深い経験をしました。 私は、普段、大学で学生に講義をするとき、「今日は一体感があって、気持ちよく講義ができた」と思うとき、「今日…

失敗は笑い飛ばせ 妻の豪放さに救われる話し

今日は、これから函館出張です。 ただ今、19時半過ぎ。 これから、札幌を出ると、函館着は深夜です。 なぜ、こんな、過酷な移動となっているのでしょうか。。。 当初、私は、特急の待ち時間に、別の内容を書いていたのですが、急遽内容を変更しました。 とい…

飼料の物理的有効度を調べるには? ペンステートパーティクルセパレーター(PSPS)

今日は酪農の技術的な話です。 牛には、反芻するという、大切な仕事があります。反芻とは、一度食べたエサを吐き戻し、細かくなるまで再度咀嚼する活動です。 どれくらい細かくなるまで、反芻を繰り返すかというと、ヒツジでは約1mm、牛では数mmと考えられて…

高校生の言葉に胸を打たれる 基督教独立学園高校

先週、母校で教育実習に従事している、教え子のN君に会いに、山形県小国町の基督教独立学園高校を訪問してきました。 そこには、生徒と教員が力を合わせて、牛を飼い、畑を起こし、山から自然の恵みをいただき、青春の苦楽をともにする姿がありました。 訪問…

大学教員の仕事 教育実習の学生に会いに

新潟に来ました。 明日、山形県の高校を訪問するための前泊です。 大学教員は、講義、研究、卒論指導、学会発表、論文執筆といった仕事が、わかりやすい仕事内容ではないでしょうか。 今回の出張の目的は、私のゼミ生の教育実習の巡回指導です。前期の授業期…

農場HACCP認証農場の審査をしてきました

農場HACCP認証を取得した、養豚農場の、更新審査に行ってきました。 更新審査とは、農場HACCP認証を取得してから、3年後に受ける審査です。これに合格すると、さらに3年間、認証期間が延長されます。 今回、私が行ったのは、現地審査と呼ばれるものですが、…

週末の始まり 金曜日の幸せ

今週はタフな5日間でした。 いくつかの締め切りと出張が迫り、講義、実習をこなしながら、黙々と取り組みました。例の、英語の校正業者に、クレームを入れ、その再々再校正も戻ってきました。 という訳で、今週は、週の頭から、恒例の、朝&昼弁当2食を持た…

牛は財産

昨日、4年生向けの実習で、酪農の収入について、実際に大学農場を対象に調査しました。 その中で、バカにならない数字となったのが、牛の個体販売による収入です。 酪農場には、ご存知の通り、メス牛しかいません。オスは、ミルクを生産しないからです。 し…

教科書が重すぎます。

いつ頃からでしょうか、私の住む札幌では、中学生や高校生が、カタツムリやヤドカリのように、重そうで、巨大なリュックを背負って登校するようになっています。 小学生も、ランドセルの中身はパンパンです。 昨日、私は、小学5年生の娘の勉強を見ました。回…

英文校正業者で痛い目に遭いました

語学は、自国語だからといって、他人の文章を適切に手直しできるわけではありません。 今回は、英語について、キョーレツなガッカリ経験をしました。 私は、今、英語で論文を書いています。2年前のデータになりますが、学会誌で公表するに値するデータが得…

畜産の研究のバランス感覚 現場と研究室のはざま

今日、嬉しい電話が届きました。 数年前から研究をともにしてきた、宮崎県の獣医師A先生から電話があったのです。 この春から、仕事を続けながら、宮崎大学の博士課程に入学したという連絡でした。 彼は、牛の治療や飼育管理に、私が専門とする研究の視点を…

科学的、合理的思考のすすめ:搾乳ロボット内での、濃厚飼料の給与法

ここ数日、立て続けに、北米で活躍する研究者による、酪農や研究についての考え方について学ぶ機会がありました。 一つは、先日もご紹介した、帯広のセミナーです。 今日は、マジメに、酪農の技術について触れたいと思います。 日本では、搾乳ロボットが、飛…

酪農セミナーでの、気づきと出会い

帯広に昨夜入り、今日は朝から酪農セミナーを受講してきました。 もう、おなじみになった陽気なアメリカ人講師とその弟子の若手研究員に、講義を受けてきました。 今日は、帰りの汽車を待つ間の短時間更新です。 気づきをいくつか。 ・ルーメンモデルが熱い …